
「赤ちゃんの泣き声がつらいから、私は育児に向いていないのかも」と思う必要はないと思います。
泣き声への感じ方は人それぞれ。双子育児で大切なのは、どちらが育児向きかを判定することではなく、つらくなった人が安全に交代できる状態を作っておくことです。
我が家ではママのほうが双子の泣き声に敏感で、私は比較的、泣かれても落ち着いて動けるタイプでした。この違いを優劣にせず、夫婦の役割分担に使えれば、家庭全体の余裕を少し守れるのではないか。今回はそんな話です。
育児に向いてる・向いてないって、何で決まるんだろう

育児をしていると、ときどき「自分は育児に向いていない」と感じる瞬間があります。
赤ちゃんが泣くと焦ってしまう。泣き止まないとイライラする。家事が途中で止まり、自分の食事やトイレまで後回しになる。
そんな日が続けば、「もっと穏やかに対応できる人のほうが、親に向いているのでは」と思ってしまうかもしれません。
でも、泣き声をつらいと感じることと、育児に向いていないことは別の話です。
むしろ、泣いている赤ちゃんを放っておけず、何とかしてあげたいと思うからこそ、心と体がずっと緊張してしまう。責任感が強い人ほど、休むタイミングを失いやすいようにも見えます。
我が家のママも、双子が泣き出すと家事どころではありません。
片方を抱っこして落ち着かせても、もう片方が泣く。やっと二人が静かになったと思ったら、今度は長男から「見て」「来て」と呼ばれる。
これでは、自分のことをする時間がなくなるのも当然です。
我が家ではママのほうが泣き声に敏感だった

これはあくまで我が家の話ですが、ママは赤ちゃんの泣き声にかなり敏感です。
泣き始めると、すぐに様子を確認したくなる。泣かせたまま洗い物を続けたり、自分の食事を済ませたりするのが難しいようでした。
それに比べると、私は少し鈍感です。
もちろん、泣いていても何もしないわけではありません。
おむつを確認し、抱っこをして、ミルクや室温を確認して、寝かしつけも試します。それでも泣き止まなければ、しばらく抱っこしたまま部屋を歩くこともありました。
ただ、泣き声そのものに追い詰められる感覚は、ママより少なかったと思います。
とはいえ、「母親は敏感で、父親は鈍感」と決めつけられる話でもありません。
2025年に発表された研究では、乳児の泣き声などで目を覚ます反応の男女差は小さく、実際の夜間育児の分担差を説明できるほどではないと報告されています。
泣き声への感じ方には個人差がありますし、普段どちらが先に対応しているか、どちらが赤ちゃんをあやす経験を多く積んでいるかでも変わるはずです。
だからこそ、男女の性質として片づけるよりも、「我が家ではどちらが、どんな場面をつらく感じるのか」を見たほうが役に立ちます。
双子育児では、敏感さがそのまま負担になりやすい

赤ちゃんが一人なら簡単、という話ではありません。
ただ、双子の場合は「泣いている一人に対応している間も、もう一人が泣いている」という状況が普通に起こります。
二人同時に抱っこできない時期もあります。片方の授乳中に、もう片方が泣くこともあります。寝かしつけに成功した直後、もう一人の泣き声で振り出しに戻ることもあります。
泣き声に敏感な人ほど、常に二方向から呼ばれているような状態です。
しかも、泣き止ませることに成功しても、家事や食事が自動で終わるわけではありません。停止していたタスクが、そのまま後ろに積み上がっています。
双子が泣く。
家事が止まる。
自分のことができない。
予定が遅れる。
焦って余裕がなくなる。
さらに泣き声がつらくなる。
こうなると、本人の性格や育児能力ではなく、単純に処理するものが多すぎます。
そもそも、赤ちゃんは何を試しても泣き止まないことがあります。
泣き止ませられなかったからといって、対応した大人が失敗したわけではありません。安全や体調を確認し、必要なことを試したのであれば、「今は泣き止まない時間なんだ」と割り切ることも必要なのだと思います。
パパが平気なら、その「鈍感さ」を戦力にすればいい

泣き声への耐性が夫婦で違うなら、比較的平気なほうが引き受ければいい。私はそう思っています。
ママが泣き止まない双子を前にイライラしているなら、「もう少し頑張って」と言うより、私が交代してママには別室へ行ってもらう。
少し横になる。お風呂に入る。イヤホンをして動画を見る。時間が取れるなら、一人で買い物やカフェに出てもらってもいい。
同じ部屋で休もうとしても、泣き声が聞こえれば休めない人もいます。物理的に離れることは、思っている以上に大切です。
こども家庭庁も、あれこれ試しても赤ちゃんが泣き止まないときや、イライラしそうなときには、赤ちゃんを安全な場所に寝かせてその場を離れ、少ししてから様子を確認する方法を案内しています。
泣いている赤ちゃんから少し離れることは、育児放棄ではありません。
安全を確認したうえで、大人が落ち着きを取り戻すための行動です。まして、もう一人の親が対応できるなら、遠慮なく交代すればいいと思います。
「任せて休んで」が成立するには、パパも一通りできることが前提
ただし、パパが「見ておくから休んで」と言っても、数分おきに「おむつどこ?」「ミルク何ミリ?」「これ食べさせていい?」と聞かれたら、ママは休めません。
安心して任せてもらうには、おむつ替え、授乳、離乳食の介助、着替え、寝かしつけといった基本的な育児を、パパも自分で判断して進められる必要があります。
準備だけでなく、哺乳瓶を洗う、食後を片づける、汚れた服を処理するといった後始末まで含めて一つの育児です。
完璧に同じやり方である必要はありません。
多少やり方が違っても、子どもの安全が守られ、必要な世話ができて、ママが確認係にならずに済むことのほうが大切です。
我が家は私も半年間の育休を取りました。
毎日双子の世話をするなかで、授乳もおむつ替えも寝かしつけも、特別な「お手伝い」ではなくなりました。
パパが一人で回せる時間が増えるほど、ママは本当にその場を離れられるようになります。
限界になる前に交代するほうが、家庭の空気は悪くなりにくい

正直なところ、同じ生活空間にずっと機嫌の悪い人がいると、しんどいです。
ただし、これは「機嫌よくしていてほしい」と我慢を求める話ではありません。
機嫌が悪くなるまで負担が偏っているなら、先に交代したほうが全員にとって楽だという話です。
双子が泣き続ける。
ママが余裕をなくす。
パパも張りつめた空気に疲れる。
長男も大人の様子を気にする。
こうなってから立て直すより、「ちょっと今きつそうだな」という段階で交代したほうがいい。
「まだ大丈夫?」と聞くと、責任感の強い人は「大丈夫」と答えてしまいます。
そこで「30分見ておくから、別室に行ってきて」と具体的に区切るほうが、休みに入りやすいこともあります。
反対に、パパが疲れている日にはママが代わる。
どちらか一方だけを休ませる仕組みではなく、その時点で余裕のあるほうが前に出るのが理想です。
育児のストレスは、母親だけの問題でも父親だけの問題でもありません。
乳児の泣き、睡眠、授乳などの困りごとは、母親と父親の両方の育児ストレスと関連することも報告されています。
だから、どちらかが限界になるまで耐えるのではなく、夫婦で早めに交代できるほうがいいのだと思います。
育児に向いているのは、泣き声に強い人ではなく交代できる人

赤ちゃんの泣き声に敏感な人が、育児に向いていないわけではありません。
泣き声に比較的動じない人が、育児に向いているとも限りません。平気だからと放置したり、相手に任せきりにしたりすれば、それは戦力とは呼べません。
大切なのは、自分の苦手な場面を知ること。
相手がつらそうなときに気づくこと。
そして、必要な育児を一人でも回せるようにして、交代できることです。
我が家では、ママの敏感さが双子の小さな変化に気づく力になり、私の少し鈍感なところが、泣き止まない場面でも淡々と対応する力になりました。
どちらが優れているという話ではなく、違いをうまく組み合わせる。
双子育児は、二人とも同じ能力を持つ必要はありません。
片方の余裕がなくなったとき、もう片方が前に出られる。それだけでも、家庭の空気はかなり変わると思います。
まとめ|向き不向きを考えるより、安心して交代できる準備を

育児に向いているかどうかを、赤ちゃんの泣き声に耐えられるかだけで決める必要はありません。
我が家ではママのほうが泣き声に敏感で、私は比較的落ち着いて対応できました。
その違いを責めるのではなく、得意なほうが前に出て、つらくなった人が別室や外出で気持ちを切り替えられるようにすることが大切だと感じています。
そのためには、パパも基本的な育児を一人で回せることが前提です。
家族全員がずっと機嫌よく過ごすのは無理でも、誰かが限界になる前に交代することはできます。
「育児向きの親」を目指すより、「安心して任せ合える夫婦」を目指すほうが、双子育児では現実的なのかもしれません。
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外部リンク
こども家庭庁:赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの理解と対処のために~
https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/nakiyamanai
共育プロジェクト
https://tomoiku.mhlw.go.jp/


